麻や、大麻植物に含まれる100を超える化合物の中で、科学者や研究者達の興味を強く惹きつけ、最も多く調査されてきた成分はTHCとCBDです。中でもハイにならないCBDは、ウェルネス分野で大きな注目を集めてきました。
世界を見ると、CBDは世代を問わず数多くの方から支持を得られており、日本でも大手企業が参入、様々な商品が開発されるようになりました。昨今、いわゆる”情報に敏感な”著名人達も「愛用している」と公言するほどその名は広がってきています。
しかし、視点をローカルなコミュニティに向けると「CBDってなに?」「違法な成分のアレ?」と、まだまだマスに広がっているという印象は受けません。
その最たる理由は我が国における「大麻=薬物」という法律で、日々テレビやニュースを賑わせている大麻所持による逮捕劇などからも、「大麻由来」というだけで嫌厭されがちであるからかもしれません。
「CBD」という成分をよく知る方であればあるほど、「CBDはウェルビーイングツールだ」という印象をお持ちの方が多いかもしれませんが、このCBDの使用にも健康被害が懸念されていたことをご存知でしょうか。
本日はこのCBDによる健康被害の懸念を払拭するような研究[1]が2023年に発表されたので、わかりやすくサラリとご紹介したいと思います。
そのCBDによる健康被害の懸念とは、長期使用による以下の症状です。
成人では、CBDを高容量で摂取すると、LFT(Liver Function Test)いわゆる肝機能検査で、その数値が上昇することが過去の研究で示されています。
高用量のCBDの摂取は、肝機能検査の数値の上昇を含め、日中の眠気を引き起こすことが示唆されており、中でもてんかんの子供において引き起こされる可能性があるということが研究で示されています。
CBDが男性のテストステロンを減少させる可能性があるという研究が存在します[2]
男性のテストステロンが低下すると、精子の生産や性的興奮、脂肪の分布や骨量の維持、筋肉の発達と筋力の向上などに影響を及ぼします。
参考:
これら症状の原因がCBDにあるのだろうか?という研究です。
・18~75歳の成人
・CBDを30日以上使用している
・特定の健康基準を満たしている。
SNSを通じて募集された。
コンタクトされた合計28,121人の内、1,475人が基準を満たし登録され、1,061人が研究を完了。
・女性:65.2%
・男性:34.8%
・フルスペクトラムCBDオイル(THCが含まれているはず)
・CBDアイソレート
55.4±37.8mg
*興味深い情報は、選ばれた1061人のうち、106人は、「ナノテクノロジーを使用したフルスペクトラムCBD製品」を経口摂取していたそうですが、そのほかの製品を使用していたユーザーと比べて1日のCBD摂取量量が大幅に少なかったため、この106人は外され、残り945人のデータが使用されたそうです。
まず、肝臓の健康についての結果をお伝えする前に「肝酵素値」について理解する必要があります。この肝酵素値とは、
肝臓の細胞に多く含まれることから肝酵素と呼ばれています。これらの肝酵素は、肝炎ウイルス感染やアルコール性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)などの肝疾患で上昇します。
〜中略〜
肝炎ウイルス感染がない場合(図1)でもある場合でも、肝酵素値が高いほど、全死亡リスクが上昇していました。国立がん研究センターより引用
肝酵素値が高いと死亡リスクが高まると言われており、CBDの長期使用によって懸念されていた肝臓の数値の上昇について調査をしたということです。
その結果、CBDを長期使用していた人の肝酵素値には有意な変化は無いことが示されたそうです。
この研究では、CBDの投与量の違いが肝臓にどう影響するかも調査されました。
結果、1日の投与量と肝酵素値には関連性がなく、値が大幅に上昇した参加者はCBD以外の要因である可能性があると説明されています。
参考:
国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策研究所 予防関連プロジェクト 多目的コホート研究 観光外全死亡リスクの関連について (2023/8/24閲覧)
CBDを使用することで日中の眠気が増すかどうかは、「スタンフォード眠気スケール」という基準を使用して測定されました。
被験者は日記を付けて、CBDの投与量、日中の眠気、副作用などを毎日報告したそうです。
スタンフォード眠気スケールとは、
1 活動的、活力がある、注意力がある、目が覚めている。
2 高いレベルで機能しているが、ピークには達していない:集中できている。
3 リラックスしている、目覚めているが完全には覚醒していない。
4 少しぼんやりしている
5 ぼんやりしている、わからなくなり始めている:起きているのが難しい。
6 眠い、ふらふらする、眠りと戦っている:横になりたい。
7 起きていることができない。
冒頭紹介論文より引用
CBDの使用と眠気は、睡眠の質と日中の眠気の重症度に影響すると考えられており、それは個人によるようです。
・不安を抱えている人は、毎日低容量のCBD(25~50mg/日)を摂取すると睡眠が改善されると言われていました。
・正常な人は、中程度の短回用量(300mg)は睡眠に影響を与えないが、中〜高用量(600mg/日)を慢性的に投与すると、20%に眠気を引き起こすと言われています。
動物実験ではCBDは睡眠を改善し、日中の眠気を軽減すると言われています。
調査の結果、CBDを使用している高齢者のテストステロン減少は、未使用の人と比べるとはるかに低いことが示されたそうです。
また、CBDがテストステロンの減少と2型糖尿病の有病率を減少させることがわかったそうですが、正確な関連性についてはさらなる調査が必要だと言っています。
今回の大規模な調査の結果CBDの使用は、
・ほとんどの参加者の日中の眠気を減少させ、
・高齢者では糖尿病の有病率を減少させ、
・高齢男性ではテストステロンの低下を減少させ、
・肝疾患の有病率を増加させなかったようです。
この調査結果のみを受けて、「CBDによる副作用は無いため、高用量でも安全だ」と結論づけることはできませんが、ハーバードメディカルスクールの情報でも、「CBDには中程度の安全性が認められてきている」と言われていることから、CBDの社会的な立ち位置が確立される日はそう遠い未来では無いかもしれないかもしれません。
ということで、
の説明を終わります。
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