Cannabinoid Magazine

CBDが胃酸でTHCに?使用罪が出来たらどうなる?

2023年9月18日
「CBDは酸を加えるとTHCに変わる?」
「海外のドラッグテストはどのように調べられているのか?」
 
 
「水溶性CBDの特徴と懸念点は?」
 
 
「水溶性CBDはTHCに変換されるって本当?」

目次

*この記事に含まれる情報は、医療従事者からの情報に代わるものではありません。

大麻使用罪の創設とCBD

これまでの日本の法律は、「大麻の所持は違法だが摂取はお咎めなし」というルールで、これは大麻農家保護のためであると言われてきました。
 
 
しかし、2021年頃から厚生労働省は大麻の使用罪について検討を始め、2023年に入り”大麻について所持罪だけでなく「使用罪」を創設する方針を固めた。“と言うではありませんか。
 
 
使用罪創設の背景には、大麻製剤の使用許可に加えて、平成26年から令和3年まで右肩上がりに増え続ける大麻事犯の7割を30歳未満が、うち23.9%を20歳未満が占めるという若年層の大麻使用を懸念してという理由も含まれています。
 
 
仮に使用罪が創設された場合、わたしたちは国のルールに従わねばなりませんから、「怪しい」>「検査」>「陽性」となった場合、当然逮捕起訴されます。
 
 
そこで気になるのがこの「検査」の部分です。

海外のドラッグテストはどのように行われる?

海外の大麻検査は尿サンプルを使用して行われることが大半ですが、血液や唾液、毛髪サンプルなどが使用されることもあります。
 
 
一般的に海外における大麻のドラッグテストで調べられるのはTHCの代謝物質です。
 
 
「代謝」とは、薬物が一度体の中に入ってから”生体の作用によって化学的に変化”することで、平たく言うと成分が変化することです。そしてその体内で変化した成分が尿や血液にどれだけ含まれているかどうかをチェックする、というのがドラッグテストです。
 
 
THCは肝臓で代謝され、精神活性のある11-OH-THCに変換され、次に精神活性のない11-COOH-THCに変換されます。
 
 
米保健福祉省(HHS)が確立した薬物検査プログラムによると、この11-COOH-THCという物質が尿に含まれている割合が15ng/mL以上検知された場合、陽性反応となるようで、50ng/mL以上の場合を陽性とみなすというテストもありました。
 
 
ここまでの内容を見ると、CBDは全く関係無いように見えますが、本日の主役はCBDなのです。

水溶性CBDとは

クッキー、ドリンク、グミ、キャンディーなど、カンナビノイドが含まれ口から食べる形態になっている製品を「エディブル」と呼びますが、これらの製品の問題点は、摂取してから効果が現れるまで数十分から1時間程度かかり、摂取量のコントロールが難しいことが難点と言われてきました。
 
 
このデメリットを打破したのが水溶性カンナビノイドです。
 
 
リポソーム化やナノエマルジョンという技術を用いてCBDを微細な粒子にし、特殊なコーティングを施すことで水に溶ける、というよりは分離せずに混ざりやすくしたもので、よく「乳化」と表現されます。これが水溶性CBDです。
 
 
そのため、体内での吸収率も油溶性のCBDと比べると高く、効果の発現も早いため圧倒的に体感を得やすいところが利点です。

水溶性CBDの台頭

水溶性カンナビノイドは大分昔から海外ではかなりホットなトピックで、日本でも水溶性CBD原料は以前から発売されていたようです。完全に商品化されたドリンクなども2022年頃から販売されだし、ネット上で目にするようになりました。
 
 
既に水溶性CBDドリンク商品を販売している中小業者は、影響力のあるインフルエンサーや大手企業に参入されてしまうと、あっという間に駆逐されてしまう可能性があるため、以下のような施策でブランド力を高める必要があるかもしれません。
 
 
・広告宣伝のための費用投下
 
・大麻由来のCBDに対する一般の消費者の意識改革
 
・薬機法の関係で効能は一切謳えないCBDの、業者、ユーザの間の価格に対する温度差を埋める施策
 
 
これらの理由から、ある程度潤沢な資金が無い場合はビバレッジ市場への参入は少しハードルが高いという印象です。
 
 
しかし、うまく軌道に乗れば青汁王子こと三崎優太さんが過去に販売していたフルーツ青汁のように爆発的に流行る可能性を秘めていると、個人的には思っています。
 
 
一方、仮に爆発的に流行してしまった場合気になるのが「水溶性CBDが合成胃液中でΔ9-THCに変換される」という海外での噂話です。
 
 
これは単なる都市伝説なのでしょうか?

CBDはΔ9-THCに変換されるのか?

今回取り上げる2023年の論文では、CBDは酸性環境下でΔ9-THCに変換することが示されている」と、はっきり言われています。
 
 
そのため、経口摂取したCBDが胃に入り、胃酸でΔ9-THCに変換されてしまった場合、変換されたΔ9-THCは肝臓に辿り着き、冒頭でご説明した11-COOH-THCに変換されて尿に混ざる。するとドラッグテストで陽性と出る可能性があるのではないか?と考えられているのです。
 
 
しかし、過去のCBDをTHCに変換させた実験では、CBDが合成胃液には溶けないため、化粧品などでも使用される特殊な成分を加えて、合成胃液に乳化させたそうです。
 
 
つまり、この特殊な成分を使用しない限りはCBDが胃酸でTHCに変換されることは無いと結論付けているので、油溶性の一般的なCBDオイルやパウダーなどは問題なさそうです。
 
 
しかし一点、気になるのがこの「乳化」です。

水溶性CBDは胃酸でTHCに変換されるのか?

水溶性CBDは先ほどもお伝えしたとおり、CBDを微細な粒子にし、特殊なコーティングなどを施し水分と「乳化」させるのです。
 
 
この技術がCBDに加わることで、先ほどお伝えしたラボで行われた実験が実際のヒトでも起こるのではないか?つまり、胃酸+乳化成分+CBD=THCにならないのか?というのがこの研究の出発点です。
 
 
実験の結果はなんと、合成胃液の中でCBDはΔ9-THCに変換が見られ、ナノ調合CBDは、含まないCBDオイルと比べて100倍THCへの変換率が高かったそうです。
 
 
しかし、一般的なCBD製品のボトルに表示されている1日の摂取量30mgから変換されるTHCの量では、ドラッグテストで陽性と検知される尿中の11-COOH-THCの量15ng/mLよりも圧倒的に低いため、尿検体で陽性をもたらす可能性は低いとされています。
 
 
そして、”この程度の変換でΔ9-THC-COOHの尿中薬物検査が陽性になるとは考えにくいが、生体内で、および/または他の製品を用いて、より広範な変換が起こる可能性は否定できない。”と結論づけていました。

まとめ

大麻使用罪が成立した場合に水溶性CBDでドラッグテスト陽性と出るのか?というテーマでお話しを進めてきましたが、この論文の結末としては「そこまで心配しなくてもいい可能性が示唆されている」ということです。
 
 
ただし、胃酸の濃度、摂取する水溶性CBD製品に含まれるその他の成分、摂取量、実際のヒトの体でどのように作用するかなどはまだわかっていませんので、更なる研究が必要であるといったところです。
 
 
ちなみに、その他の偽陽性が出る可能性のあるカンナビノイド成分は、大麻使用罪が創設されるとどうなってしまうのでしょうか?
 
 
わたしたち一般のユーザーは、少しでも正しい情報に多く触れることで様々な不利益を回避することが出来る可能性があります。これからも出来るだけ多くの海外の情報や論文などを多くご紹介できるよう更新を続けていきたいと思いますので、記事がいいねと思っていただけたらLifeLUXのXアカウントのフォロー、RP、よろしくお願いします。

ということで、

の説明を終わります。

 

ここまで読んでくださって本当にありがとうございました!

 

(人´∀`).☆.。.:*ありがとぉ☆彡(*´ω`*人)

 

内容が面白いと思っていただけたらSNSの運用が苦手なわたしの代わりに記事をシェアしていただけるとアクセス数が増えるため運営の励みになります。

 

どうぞよろしくお願いいたします。

Twitter
Pinterest
Reddit

この記事に関連する記事

サイト内検索

サイトの管理者

中の人

中の人

Webクリエイター、ライターです。海外のカンナビノイド研究や論文を参考に、論理的な記事作成を心がけています。生活(Life)が豊か(Luxury)になるようこのサイトをLifeLUXと名付けました。「カンナビノイド情弱になるな!」をモットーに、わかりやすい説明を心がけています。応援よろしくお願いします。(_ _))ペコッ

一番読まれている記事