バレンセンという名前はあまり知られていないかもしれませんが、その芳香の存在感と潜在的な効能は、さまざまな業界で注目を集めています。
このあまり馴染みのないテルペンは、オレンジの心地よい香りの原因であり、他の柑橘類にも含まれています。
そこで今回は、バレンセンとは何か、その化学組成、天然の供給源、そしてアロマセラピーからスキンケアまで、その多様な用途について探っていきます。
バレンセンを「一皮剥き」、その秘密を探ってみましょう。
バレンセンは、セスキテルペン類に属する揮発性有機化合物[1]です。
セスキテルペンとモノテルペンの違いは、イソプレンという 炭素の構成単位の違いで、セスキテルペンは3つ、モノテルペンは2つから成っています。バレンセンが属するセスキテルペン類は壊れにくく、大麻の硬化の段階でも残ると言われており、独特の芳香を与える成分でもあります。
「バレンセン」「オレンジ」と聞いて思い出すフルーツ名があるのではないでしょうか?そうです。バレンセンは最初に単離された甘いバレンシアオレンジにちなんで名付けられたと言われています。
このテルペンは剥きたてのオレンジの香りに似た、甘く心地よい柑橘系の香りで知られています。バレンセンは、その芳香性の高さから、天然香料としてよく使用されています。
参考:
[1] NIH | Valencene
バレンセンの化学構造は分子式C15H24の二環式セスキテルペン炭化水素[1]です。
ここに出てくる「二環式」とはその名の通り二つの環状分子が1つ〜3つの原子を共有して結合した分子[2] なのですが、ここではサラッと「そんなもんなんだ」程度の理解で大丈夫です。
この構造が、バレンセンの独特の香りを生み出しているのですが、炭素原子と水素原子の組み合わせが、これほど豊かな香りを生み出す事は興味深いと言えます。
参考:
[1] Wikipedia | Valencene (2023/10/23閲覧)
[2] Academic Accelarator | 二環式分子 Bicyclic Molecule (2023/10/23閲覧)
バレンセンはバレンシアオレンジに多く含まれていますがオレンジだけではなくミカンや、レモン、グレープフルーツなど他の柑橘類にも含まれます。
さらに、大麻の一部の系統にもバレンセンが含まれており、独特の香りを生み出しています。
バレンセンは樹皮などにも含まれているため、甘い柑橘系のノートの中に樹木などのウッディな香りが混ざり、弱いハーブが香ることも特徴的です。
バレンセンには、その心地よい香りだけでなく、さまざまな効能が期待されています。
2022年の研究[1]では、心筋梗塞モデルのラットにおいて心臓保護作用を示したことがわかったそうです。
2016年の研究[2] では、バレンセンが持つ抗アレルギー作用や抗メラニン生成作用に注目し、マウスに対してバレンセンを局所使用したそうです。その結果、皮膚バリアタンパク質を増加させ、アトピー性皮膚炎の症状とかゆみ行動を改善することがわかったと言われています。
2011年の研究[3]ではカヤツリグサの根から単離されたバレンセンを含むいくつかのテルペンを使用してラットにおいて抗アレルギー特性が検査されました。その結果、細胞から放出される酵素を最も阻害したのがバレンセンであったと報告されています。
参考:
[3] Jeong Ho Jin et al. | Anti-allergic activity of sesquiterpenes from the rhizomes of Cyperus rotundus | Arch Pharm Res. 2011 Feb;34(2):223-8.
バレンセンはアロマセラピーで重要な役割を果たし、リラックスしたり、気分を高揚させたりする雰囲気を作り出すために使用されます。バレンセンを配合したオイルをディフューザーで蒸気化したり、外用したりすると、緊張を和らげ、気分を向上させるのに役立ちます。
スキンケア業界もバレンセンの潜在的な効能を見逃してはいません[1]。スキンケア製品の中には、バレンセンが持つ肌を良好な状態に保つ作用や、外部の影響から肌を守る作用などが注目を浴びています。肌を若返らせる自然な方法をお探しならバレンセンを配合した製品を検討する価値があるかもしれません。
バレンセンは大麻株に含まれる場合、気分が高揚する効果があると報告されている[2]ようです。そのため、日中使いに適していると言われているCBG優勢リキッドなどに使用されるとその香りと効果が相まってワンランク上のデイタイムリキッドとなるかもしれません。
2020年8月にIsobionics社のバレンセンが厚生労働省に食品添加物として認められた[3]というニュースリリースがあるように、食品や飲料に含まれる天然香料としても人気があります。シトラス風味のキャンディーからクラフトカクテルまで、バレンセンは味覚にフルーティーな喜びを加えることができます。
参考:
[1] Cosmile Europe | Valencene (2023/10/23閲覧)
[2] Botany Farms | What is Valencene? (2023/10/23閲覧)
[3] BASF | Isobionics’ Valencene receives approval as food additive in Japan (2023/10/23閲覧)
バレンセンは一般的に、適量であれば安全であると考えられています。先ほどもご紹介したように食品添加物としても認められている(特定の企業の製品)ため、食用としても問題はありません。ただし、エッセンシャルオイルのように、原液を肌に塗布するとアレルギー反応が起こる可能性があります。
そのためバレンセンを含んだ新しいスキンケア製品やアロマセラピー製品を使用する前には、パッチテストを行った方が無難です。敏感肌の方は皮膚科医にご相談ください。
テルペン類は、その香りも潜在的な効能も多様であることはご存知の通りであると思います。
海外の医療大麻市場では「サティバ」「インディカ」という曖昧なカテゴライズではなく、ケモバーやケモタイプと呼ばれるより詳しい効能がわかる表示をしようという動きがあるようです。この根底にはアントラージュ効果という理論があり、テルペンと含まれるカンナビノイドの相加効果に着目しています。例えばケモバーとは、含まれる上位2位までのカンナビノイドと、上位4位までのテルペンを表示することで、購入者がその効果を事前にわかるようになっているという仕組みです。
バレンセンには柑橘系の香りがありますが、リモネンのような他のテルペンにも同様の香りがあります。似ているようでそれぞれが持つ効果や効能は異なります。そのため、Vapeに限ったお話をすると、カンナビノイドの配合量だけでなく含まれるテルペンプロファイルなども表示され、更にその効能まで記されているといいなと個人的には思うのですが、薬機法の関係で販売する商品の効果効能は今のカンナビノイドの立ち位置では説明出来ません。
聞いたことの無い名前のバレンセンというテルペンですが、アロマセラピーからスキンケア、食品からVapeまで、様々な業界でその名が知られています。
その心地よい芳香は潜在的な健康効果と相まって、万能で魅力的な化合物としてその存在を際立たせています。
リラクゼーションを求めている方にも、香りを楽しみたい方にも、スキンケアで若返りたい方にも、バレンセンはあなたの人生をより豊かにしてくれる自然の香りの一つの選択肢となるかもしれません。
このようなテルペンやカンナビノイドにまつわる知識を週4~5回程度配信しています。記事がいいねと思っていただけたらLifeLUXのXアカウントのフォロー、RP、いいねをお願いします。
ということで、
の説明を終わります。
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Webクリエイター、ライターです。海外のカンナビノイド研究や論文を参考に、論理的な記事作成を心がけています。生活(Life)が豊か(Luxury)になるようこのサイトをLifeLUXと名付けました。「カンナビノイド情弱になるな!」をモットーに、わかりやすい説明を心がけています。応援よろしくお願いします。(_ _))ペコッ