Cannabinoid Magazine

完全深掘り【テルペンとは】種類と効能、食用の危険性から商品開発まで

2023年9月4日
「テルペンって香り付けの油でしょ?」
「セスキテルペンとかモノテルペンってなんだ?」
 
 
「植物由来とヘンプ由来、ライブレジンってどう違うの?」
 
 
「エディブルや飲料に含まれるテルペンって安全?」
 
 
「テルペンとカンナビノイドってどう組み合わせるのがベストなの?」
具体的には、
 
 
【テルペンとは何か?セスキテルペンとモノテルペンの違いを説明】
 
 
【植物由来、ヘンプ由来、ライブレジンの違いやかかるコストを説明】
 
 
【テルペンメーカー6社に共通する経口摂取の危険性とは?】
 
 
【各テルペンの香りと効果、カンナビノイドとの最適な組み合わせを説明】
 
 
の順にご紹介します。

目次

*この記事に含まれる情報は、医療従事者からの情報に代わるものではありません。

本来のテルペンとは?

テルペンと聞くと「精油」や「香料」というイメージが強いかもしれませんが、本来、植物や一部の昆虫が、成長するために必要な環境を手に入れるために生産される芳香成分です。
 
 
草食動物を退けるためや、草食動物の捕食者を惹きつけるため、時には受粉のために昆虫を引き寄せるためであったりと、特有の匂いは重要な機能を持ちます。
 
 
例えば、ラベンダーの安息効果は主成分であるリナロールというテルペンによるものですが同時に、害虫を寄せ付けない役割を果たします。
 
 
レモンの抗菌作用は芳香主成分リモネンというテルペンによるものでありますし、ミルセンというテルペンは花粉交配者を魅惑する香りを出して自身の繁殖活動を行います。
 
 
このようにテルペンには様々な異なる役割があるのです。

大麻に含まれるテルペンの役割とは?

大麻に含まれるテルペンは主に香りと効果を決定づけます。
 
 
以前はインディカ、サティバ、ハイブリッドなどという分類分けで人々は何となくその大麻株の効果を想像し、購入に至っていたようですが、近年の医療大麻業界ではケモバーという分類分けがなされています。
 
 
ケモバーとは、大麻株に含まれる上位2位までのカンナビノイド成分と4位までのテルペンを記すことで、消費者が事前にその効果をより正確に知ることができるという非常に便利な分類方法です。
 
 
この分類分けの根底にはアントラージュ効果という理論があり、テルペンはこの作用の立役者でもあるのです。

セスキテルペンとモノテルペンの違いとは?

テルペンの基本化学式は実はすべて同じで、(C5H8)nと表されます[1]
 
 
この(C5H8)はイソプレンと呼ばれ、このイソプレンという成分を構成単位とする炭化水素[2]がテルペンです。
イソプレンが2つあるものをモノテルペン3つあるものをセスキテルペン4つあるものをジテルペン5つあるものをセステルペンと呼びます。

モノテルペンの特徴

モノテルペンは揮発性が高いため、芳香に影響を与えます。
 
 
ミルセン、リモネン、リナロール、ピネンなどが含まれます。

セスキテルペンの特徴

セスキテルペンはモノテルペンよりも壊れにくいため、大麻を乾燥させ、硬化させるプロセスでもその成分は残りやすいと言われています[2]
 
 
カリオフィレンやフムレンなどが含まれます。

つまり、セスキテルペンの方がモノテルペンよりも揮発しないよう慎重に取り扱う必要があるということです。

植物由来、ヘンプ由来、ライブレジンの違いとは?

植物由来テルペンとヘンプ由来テルペンの違いは?

植物由来テルペンは、麻/大麻以外の植物から抽出されたもので、ヘンプ由来テルペンは麻から抽出されたものです。
 
 
植物由来テルペンは特に問題は無く輸入できるのですが、ヘンプ由来テルペンは、大麻取締法により「成熟した麻の茎か種子」[1]から抽出された成分でない限り日本には輸入出来ません。
 
 
つまり、大麻植物のバッズ(花穂)やリーフ(葉)から抽出された成分は輸入出来ないのです。

ヘンプ由来テルペンとライブレジンテルペンの違いは?

この違いは抽出方法にあります。

 

ヘンプ由来テルペンは通常乾燥大麻から抽出されますが、ライブレジンテルペンは、新鮮な大麻をドライアイスなどで急速冷凍させ、細かく砕かれたのち、溶剤の中でゆっくりと時間をかけて抽出されます[2]

 

テルペンは熱、光、酸素にさらされると容易に劣化するため、乾燥大麻から抽出するよりもフレッシュな大麻から抽出された方が元々の大麻株が持つテルペンプロファイルをより忠実に再現できるというメリットがあります。

ヘンプ由来とライブレジンの方が高価な理由とは?

まず、バッズ(花穂)から抽出できるテルペンの量と茎と種子から抽出される量では、バッズから抽出される量の方が圧倒的に多いため、国外のテルペンメーカーはわざわざ種子や茎からのテルペン抽出にコストをかけることは通常では無いと考えられます。
 
 
つまり、ヘンプ由来のテルペンやライブレジンテルペンは、現地のラボに依頼し、特別に茎と種子から抽出してもらうか、何か別の方法を取るという通常とは異なるコストがかかっていないと輸入できないはずです。
 
 
このような理由から日本で手に入るヘンプ由来成分テルペンや、ライブレジンテルペンは稀少であり、植物由来と比べると価格も高くなっています。

テルペンの種類は豊富で様々な薬効がある

ミルセン

ミルセンの特徴と効果 テルペンとは ライフラックス

ピネン

ピネンの特徴と効果 テルペンとは ライフラックス

カリオフィレン

カリオフィレンの特徴と効果 テルペンとは ライフラックス

リモネン

リモネンの特徴と効果 テルペンとは ライフラックス

リナロール

リナロールの特徴と効果 テルペンとは ライフラックス

テルピノレン

テルピノレンの特徴と効果 テルペンとは ライフラックス

フムレン

テルペンによる体感の違いとは?

Leaflyとは月間訪問者数が1500万人という大麻関連情報を網羅しているモンスターサイトです。
 
 
Leaflyを通して大麻を購入したユーザーからのレビューを集約したところ、以下のような結果になったそうです。
 

上から順に鎮静作用下から順に活動的な効果

  1. ミルセン
  2. ピネン
  3. カリオフィレン
  4. リモネン
  5. テルピノレン

 

1. ミルセンを多く含む大麻株を吸った多くの人は深い鎮静作用を感じ、5. テルピノレンを多く含んだ大麻株を吸った人は活動的になったという事です。

参考:Leafly

テルペンは食べても大丈夫なのか?

テルペンとは本来植物に含まれている成分ですから、何千年もの間人々はテルペンを食べてきています。テルペンの食用が危険である場合、小松菜やりんごなども食べられないということになります。

 

しかし、テルペンメーカーの情報を見ると、食用の危険性を示唆しています。

 

全てのサイトに共通して言われていることは「濃縮テルペンをそのまま経口摂取しない事」と、「安全性のわからないテルペンの経口摂取はせず、医療関係者や専門家に必ず事前に聞くこと」です。

 

つまり、安全性が確保され、適度に希釈されたテルペンを、専門家の指導の下、食用、飲用製品に含むのであれば大丈夫そう、といったところでしょう。

参考:(以下全て2023/7/18閲覧)

Gold Coast Terpenes | How to Consume Terpenes Safely

Periodic Edibles | How To Consume Terpenes – Inhalation, Ingestion, and Topical Use

Fine Stables | Are Terpenes Safe To Consume?

Glowbar CBD | Are Terpenes Safe To Consume?

MJ Biz Daily | Know your terpenes: A guide for cannabis products

NCIA | Committee Blog: Safety – Terpene Limits in Cannabis Manufacturing

一般的なテルペン分析法とは?

一般的にテルペンの分析はGS/MS[1]という方法で行われます。
 
 
headspace gas chromatography(GS)/ ヘッドスペース・ガスクロマトグラフィー
 
 
mass spectrometry (MS) / マス・スペクトロメトリー
 
 
GSとは1950年代から存在する、固体もしくは液体の中の揮発性化合物を測定するための手法で[2]、MSとは1つの分子あたりの質量を測る技術です[3]
 
 
これらの分析法を用いることで、その試料中にどのテルペンがどの程度含まれているかを可視化することができます。
 
 
商品に含まれるテルペンの量がわかれば効能もわかりますし、どのようなカンナビノイドと組み合わせることでどのような相乗効果が得られるのかと予想した上で商品開発などにも臨む事が出来ます。

参考:

 
[2] O. David Sparkman, … Fulton G. Kitson, in Gas Chromatography and Mass Spectrometry (Second Edition), 2011
 
[3] BROAD institute | WHAT IS MASS SPECTROMETRY? | https://www.broadinstitute.org/technology-areas/what-mass-spectrometry (2022/11/19閲覧)

根拠のあるテルペンとカンナビノイドの組み合わせとは?

テルペンやアントラージュ効果で有名なイーサン・ルッソ博士のTaming THC[1]を参考にこんな商品開発もできるのでは?というアイデアをいくつかご紹介して終わりにしたいと思います。

禁煙

48人の喫煙者を対象にした実験で、βカリオフィレンが含まれたものを吸ったグループの人たちの、ニコチンへの渇望を大幅に減少させたそうです。

 

つまり、βカリオフィレンを多く含むVAPE用のCBDリキッドなどは禁煙する際に役に立つかもしれません。

睡眠

リラックスした状態で体に痛い所などが無く、悩み事も無ければより深い眠りにつけそうですよね。
 
 
つまり睡眠の質を上げるには鎮静効果、抗不安、痛みを和らげる効果のあるカンナビノイドが必要です。
 
 
そしてそれをミルセン・カリオフィレン・リナロールがサポートする可能性があると示されています。
 
 
鎮静効果が強いとされているCBNと、ミルセン、カリオフィレン、リナロールの組み合わせは睡眠の質を上げられるかもしれません。
 
 
中でも多くの人がミルセンの鎮静効果を感じていることを考えると、ミルセン優勢のテルペンとCBNなどを組み合わせたVAPEリキッドやオイルは質の良い睡眠の助けになるかもしれません。

抗不安

CBDの高い抗不安作用は非常に有名です。

 

リモネン、ピネン、リナロールの薬理作用は、CBDの抗不安作用にさらなる利益をもたらすと示されています。

 

不安を感じたときに場所を選ばずに摂取できることを考えるとオイルなどが良いかもしれませんが、すぐに効果を得たい場合はVAPEカートリッジなども良さそうです。

ニキビ

CBGがニキビの根で増加した皮脂産生を弱める可能性があると示されています。

 

そして、リモネン、リナロール、がニキビの病原菌を抑え、ピネンはアクネ菌を抑制する効果があったとも示されています。

 

このことから、抗菌作用のあるCBGとリモネン、リナロール、ピネンを含むバームなどがあると良いかもしれません。

まとめ

テルペンとは、植物などの香りの素であり、種類が豊富でそれぞれが持つ薬効は様々である。

 

各テルペンが持つ効果をカンナビノイドの効果と組み合わせると面白い商品開発ができるかもしれない。

 

といったところです。

ということで、

完全深掘り【テルペンとは】種類と効能、食用の危険性から商品開発まで

の説明を終わります。

 

ここまで読んでくださって本当にありがとうございました!(人´∀`).☆.。.:*ありがとぉ☆彡(*´ω`*人)

 

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Webクリエイター、ライターです。海外のカンナビノイド研究や論文を参考に、論理的な記事作成を心がけています。生活(Life)が豊か(Luxury)になるようこのサイトをLifeLUXと名付けました。「カンナビノイド情弱になるな!」をモットーに、わかりやすい説明を心がけています。応援よろしくお願いします。(_ _))ペコッ

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